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2013年1月26日土曜日

Good Night

 ゆっくり堕ちていくんだ。
 体がなんの支えもなくなったのがわかるんだ。



「そんな夢を見てね」
「ふぅん」
 特に珍しがるでもなく答えて、彼はコーヒーをすすった。
「落ちる夢か」
「そう。どっちかって言うと、浮かぶ夢だったのかもしれない。とにかく、足の下に何もなくなって、体がひどく不安定になってね」
「背が伸びたのかもしれない」
「まさか。成長期はもう終わったよ」
 彼はコーヒーマグをおいた。
「俺は夢占いなんてできないから、専門的な意見を求められても困るね」
「それもそうだけど」
 朝食の合間の、何気ない、他愛ない会話だ。
「そういえば、君は夢を見るのかな?」
 訊かれて、彼は少し首をかしげた。
「見てはいる。見たという記憶はあるんだ。だけど、内容となるととんと思い出せないね」
「そう」
「現実でも覚えなきゃいけないことがたくさんあるのに、わざわざ非現実にまで目を向けてやれるほど優しくもないんだ」
 ふぅん、と、口の中で答える。彼の多忙ぶりは、以前から承知のとおりだ。
「――ねえ、覚えておいてあげるってことは、君にとっての優しさなのかい?」
「ああ。ビジネスの世界じゃ、記憶にどれだけ残れるかが物を言う」
 彼は端的に答える。そして空になったマグを見下ろして、席を立った。
「仕事に行ってくる」
「うん。いってらっしゃい」
 テーブルに残されたマグを取り上げて、僕も席を立った。

 その途端、ふわりと、体が浮いたような気がして。



 気がつくと、病院の白い天井を眺めていた。
「――あ?」
「おはようございます」
 看護婦がこちらに声をかけて、カーテンを開く。
「いい朝ですよ」
「あ、はい」
 阿呆みたいな返事をして、僕は、部屋を出ていく彼女の背を眺めていた。
 彼女と入れ違いに、白衣を着た男性が現れる。
「気分は?」
「悪くないです」
 こちらを覗き込んでくる顔は、夢で見た彼と同じもの。
「あの、先生」
「うん?」
「僕はいつからここに居るんでしょうか」
「さてな。俺は引き継ぎだから、細かいことはカルテを調べないと答えられない」
 答える仕草も、夢の中の彼に瓜二つだ。
 それとも、彼が僕の夢に出てきただけなのだろうか。この病院の中で出会う、数少ない知り合いなのだ。
「――夢を、見ました」
「へぇ。どんな?」
「空を飛ぶような、落ちるような夢です」
「ふぅん」
 彼は、こちらを見て簡単な返事をした。
「俺は精神分野は専門外だから、どう言う意味があるのか相談には乗れないんだが」
「あ、はい」
「じゃ」
 次の患者がいるらしい、彼は部屋を出ていく。
 窓辺に立って、お見舞いのりんごを手にとって、ひとつかじった。

 と、ふわりと、体が浮いたような気がして。



 気がつくと、授業が終わっていた。
「帰るぞ」
 声をかけられて振り向くと、彼が立っている。思わずまじまじと見つめると、彼は不思議そうな顔をした。
「どうかしたか」
「ううん、何でも」
 帰りにゲーセンでも寄るか。そんな話をしながら、教室をでる。
「そういえばさ」
 彼が言った。
「空を飛ぶ夢、見たんだ」
「え?」
「落ちてたのかもしれない。だけど、俺の体が中に放られたのはわかったんだ」
 変な感じだったな、と付け加えて、彼はカバンをぶらぶら揺らした。
「――君も?」
 訊いた声は、届かない。
 新しく買ったゲームの話を聞かされながら、歩く。
 と。


「危ない!」


 宙から、花瓶が落ちてきて。

 がつっ、と、鈍い音を立てた。
 彼の体がぐらりと傾いた。
 道はあっという間に赤く染まった。
 僕は倒れた彼に駆け寄って名前を叫ぼうとして――

 目が、覚めた。

「おはよう」
 目を覚ますと、隣に立っていたのは彼だった。
「ああ、おはよう」
 返事をして、見を起こす。
 コーヒーを一杯どうだと尋ねられて、じゃあ少しだけ、と答えた。
「そういえば」
 彼は何気ないことのように言った。
「嫌な夢を見たよ。目の前でお前が死ぬ夢」
「え?」
 彼が夢の内容を覚えているなんて、珍しい。
 苦い顔のまま、彼は言う。
「椅子から転げて、床のナイフが突き刺さって死んだり、病院で窓から落ちて死んだり」
 言葉を聞いたとたん、眉間がザクリと傷んだ。右の腕が、嫌な熱を持って疼く。
 彼は小さくうめいて、頭に手をやった。
「――どうにも頭が痛むんだ。今日は、仕事を休むことにするよ」
「ああ」
 返事をして、布団にそのまま体を落とす。
 布団は、ふわりと僕を包み込んだ。
 その感覚に、冷水を浴びせられたように目が覚める。 
 浮かぶような、沈むような。
 体が宙にあるような、そんな感覚。
――あ
 ここからじゃ見えるはずもないのに、階段から彼が足を滑らせる様がはっきり目に映った。
 鈍い音がひとつ、耳を塞ぎたくなるような音が、聞こえる。

「――いやだ」

 視界が、どんどん黒くなっていくのが見えた。




 またこれも夢なのか。
 どこまでが、夢なんだ。
 何度死んだんだ、彼は。
 そもそも彼は誰なんだ。名前を呼べない、あの彼は。
 僕も死んでいるのか。
 今は、今は一体、いつなんだ。




 集中治療室の中、二人の意識が混濁していた。
 一人が目を開けると、もう一人が目を閉じる。
 目を開けているからといって、意識があるわけでもない。
 親友二人でスキーへいって、うっかり崖から落下し、意識不明の重体で運ばれてきた。
 以来ずっと、こうして二人、生と死の間を彷徨っている。
「――かわいそうに」
 若い女の医者は小さく呟いて、二人の頭を撫でてやった。

「――おやすみなさい。せめて、いい夢を」





「Good Night」/「こがわら」の小説 [pixiv] http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1914505

読み切り短編書きました

今度はサイトじゃなくてpixivで。

あまり長くないから次の記事で掲載しようかなーと思う。

それ言っちゃったら普段から書いてるクルナイの短編もそう大して長くないからこっちで掲載しようと思えば掲載できるんだけども。



「幻想小説書いてるんですかー」
って最近よく言われます。(on pixiv)

どうなんだろう、書きたいもの書いてるだけで幻想ってわけじゃないのかも。

背景とか時間軸がぼやけてるからそう見えるのかな。

次はいくらかはっきりしたの書いてみよう。

2013年1月25日金曜日

えんため大賞 詳細

ファミ通文庫で出版可能なライトノベル作品を募集。SF、ホラー、ファンタジー、ギャグ、伝奇、恋愛、学園もの等々、ジャンルは問いません。大賞・優秀賞受賞者はファミ通文庫よりプロデビュー。その他の受賞者、最終選考候補者にも担当編集者がついてデビューに向けてアドバイスしていきます。


応募受付締切
2013年4月30日(当日消印有効)


応募資格
年齢・性別・国籍は問いません。


選考
森好正(eb!取締役)、河西恵子(ファミ通文庫編集長)、ファミ通文庫編集部


評価シート
一次選考通過者の全員に送付します。発送はすべての選考が終了した後になります。


入賞発表
2013年8月以降発売のエンターブレイン各雑誌・書籍。及びエンターブレインHP。


応募規定
1)手書き原稿の場合。400字詰め原稿用紙タテ組、250枚~500枚。必ず1行目には「作品タイトル」2行目には「氏名/ペンネーム」を明記のうえ原稿用紙1枚毎にページ番号を記入。右上端をダブルクリップなどでとめて下さい。


2)パソコン、ワープロ等で原稿作成する場合。39字詰め34行85枚~165枚。パソコン、ワープロで作成した原稿は下記のふたつの方法で応募することができます。

A:プリントアウトでの応募。
A4用紙横使用。タテ組、39字詰め34行85~165枚で印刷。必ず1行目には「作品タイトル」2行目には「氏名/ペンネーム」を明記のうえ原稿1枚毎にページ番号を記入。右上端をダブルクリップなどでとめて下さい。

B:データでの応募。
ウィンドウズで読み込み可能なフロッピーディスク、あるいはCD-ROMにテキスト形式で応募原稿のデータファイルのみを保存して下さい。原稿データの1行目には「作品タイトル」、2行目には「氏名/ペンネーム」を忘れずに記入してください。ディスクには必ずラベルを貼り、「応募作品のタイトル、氏名/ペンネーム」を明記して下さい。なお、編集部でデータを開く際に「郵送中の事故による媒体の破損やフォーマットの違いなどでデータが開かない」「明らかに原稿の改行が乱れていたり、文字化けがある」「テキスト以外の形式で保存してある」場合は、応募作品としてエントリーされません。確実を期する場合は、プリントアウトで応募してください。


3)いずれの応募の際にも、作品の梗概(800字以内)、エントリー表として以下の項目(タイトル/氏名※ペンネームの場合は本名も併記/生年月日/郵便番号、住所/電話番号/メールアドレス/職業/執筆歴/小説賞への応募歴)を記入したものを必ずプリントアウトして添付してください。※手書きでも可


4)応募作品は、日本語で記述された応募者自身の創作による未発表の作品に限りますが、応募者自身が作品の削除・修正等が可能な非営利目的のウェブサイトでの公開については、未発表作品とみなします。ただし、応募の際には、該当する「サイト名」・「URL」・「公開期間」を明記のうえ、本賞への応募期間中(投稿~結果発表まで)は、当該作品の掲載を取りやめてください。
同一作品による他の文学賞への応募は認めていません。第三者の権利を侵害した作品(他の作品を模倣する等)は無効となり、その場合の権利侵害に関わる問題はすべて応募者の責任となります。応募作品の著作権は、応募者に帰属します。
なお、入賞作品については、株式会社エンターブレインが、作品の出版(電子書籍、CD-ROM等の電子メディアを含む)、映像化、公衆送信(インターネットでの配布、販売)等に関する独占的権利を取得できるものとし、賞金の支払い時に契約を締結します。
※選考に関してのお問い合わせ・質問には一切応じかねます。
※応募作品の返却はいたしません。




応募方法&宛先
原則として郵便に限ります。
〒102-8431 東京都千代田区三番町6-1
株式会社エンターブレイン
第15回エンターブレイン えんため大賞 小説部門 係

スニーカー大賞結果

一時落選でした……
うっわぁこれすっごいジワジワショックだなぁ…と。

なつきのはなしは結構自信あったから余計切なかったです。
力入れれば何でも上手くいくってわけじゃないんだなぁ。

いつも少し難しく考えすぎなのかもしれない、とふと思ったり。
受賞作見たら、「あっはっは」ってあっけらかんと笑えるような話も多いからなぁ。
「小説を書く」ってこと、もう少し簡単に考えてもいいのかもしれない。
あと、キャラクターもう少し人間味なくしてもいいのかもしれない。デフォっていいのかなぁとか。
それこそダンロン的な強さ欲しかったりするんだろうか。
落ち着いて考えたら漫画の主人公ってそんなに生々しくないよね。

デフォいれまくったキャラはなんか嘘っぽい気がしてどうにも受け付けなかったんだけど、たまにはめちゃくちゃにとんがらせたキャラクターブチ込んでみてもいいのかもしれない。
最近どうにも湿っぽいしな。

Silent Fairytale とか CooLNightSongsとかで狙うつもりだったんだけど、少し方向転換してみよう。

とりあえず次はえんため大賞狙うぞー。

というわけで、後で自分用にえんため大賞の詳細をぽいする予定。

2013年1月23日水曜日

なまえのはなし/おめんのはなし

最近PNというか、オンラインで使う名前がころんころんかわる。

ここ一年の変化をざっくりたどると

(On Google)


法隆寺 鐘子

鹿苑寺 金子

慈照寺 銀子

太宰府 梅子

(⁰︻⁰) ☝ここまで有名建築シリーズが流行りだったらしい


鼓瓦 野朔

日向 夏子

九瑠夷 夜朔

木瓦 野咲←イマココ!


気分転換、というわけじゃないんだけど。

名前変えたところで別人というわけでもないしなぁ。

SNSごとに名前変えたりはしてるかも。

pixiv→こがわら
twitter→九瑠夷 夜朔/狂夜猫(←規制用。crazynightcatより)
koebu→破魔屋和笑
などなど。

使う頭違うから、違う名前使ってみるのも悪くないなぁとおもう。意識付け、というか。

ちょっと、語るんだけど。


人って何かに打ち込むときで顔がそれぞれ違うと思うんだよな。
勉強するときの顔、
仕事する時の顔、
バイトの顔、
サークルの顔。
そりゃ違って当たり前なんだけど。

何かに打ち込む時間っていうのは、それぞれお面を作ってくような時間に似てる気がする。
勉強に打ち込む時は、「勉強する自分」のお面を作り上げてて、
サークルに熱中するときは、「サークルやってる自分」のお面作り上げてて、
小説書くときは「小説書いてる自分」の面作ってるような。
で、その面の精度を上げてくような、そんな気がする。

ただ人生ってそんなに長いわけじゃないから、面を作るのに打ち込める時間も限られてるわけで。

荒作りの面をいくつも作るのと、ひとつだけの面をコツコツ彫り込んでいくのと、どっちがいいんだろ。


そんなこと考えながらゴロンゴロン生きてます。
今日もよろぴこ。

2013年1月22日火曜日

志摩さんのお話書いたよ

クルナイの志摩静治さんのおはなし書きました。

目の見えない女性と以前交際がありましたよっていうのがバックグラウンドなんだけど、あまり細かく説明するのもアレだなぁと思って説明は控えてます。
目が見えないってのも説明してない。
これ読んでる途中で「ひょっとして目が見えないんじゃないかなぁ」って気づいてもらえればありがたいや。

というわけで相変わらずざっくり。

Cool Struttin'

志摩さん若干不憫だけど、もっと不憫なのは同タイトルで話書くつもりだったのに結局志摩さんにネタ取られた赤城だろうと思ってる。悪気はないけど後悔はしたよ。


今回の物語は
志摩「べっ、別にまだ好きとか、そんなんじゃないんだからっ!」
彼女「女性が綺麗になる方法は二つあります。 『いい恋をすること』と『悪い恋をやめてしまうこと』です」
といったコンテンツでお送りしてます。


結論:赤城のターンいつかちゃんと回してやりたい。

2013年1月17日木曜日

挿絵もらっちゃったよ!

Silent Fairytale に、pixivで知り合ったozさんがキャラデザしてくださいました…!


Silent Fairytale:
GedeまたはDionysos、黒魔ゼンと、SirenまたはMermaid海瀬逢魔が電車に乗って都市伝説を横断する物語。
別軸で赤怪キラが旅をする話が進行しているもの。
アメリカの都市伝説が主なモチーフだが、作中では明示されていない。


黒魔ゼンがこちら!


あまりにイケメンでもう…!

イメージど真ん中過ぎて、もうozさんほんと神じゃないかと思った。

もともとこのキャラは「Lone Serenade」の主人公ゲデがあの物語のキャラでなかったらどんな感じに動いたのかなというのを妄想して派生したある意味での二次創作なんだけれども、もうLSと全く関係なく話が進んでるからこれはこれでありかな…と。

サイコパス側面がロネセレよりは強いかなぁ。
あっちのゲデは「普通じゃない人のふりをする普通の人」だったけど、こっちのゼンは「普通の人と過ごしてる普通じゃないやつ」だから、同一モチーフの別人だと思って全然OKかも。
ハイチブードゥー教のゲデが好きなんだ…。あの一人だけ空気読んでない設定が…。
(ブードゥーに関してはさほど詳しくないですけれども)

ちょいちょい更新中。
がんばるよー。